オーイおじさん

4月から京都の北区っていう所に住んでいるんですが、この界隈は結構ガラが悪いんです。私は姫路で生まれ育ったのでガラの悪さっていうのには慣れているのですが、このあたりも緊張を強いられることが時々あります。
(ちなみに生涯で一番緊張感マックスな経験が姫路駅前でドスを突きつけられたことです)

家は北区の小山っていう、地下鉄でいうと北大路駅があるところなのですが、
北大路と言えばビブレですよね。

ビブレ。ヤングたちのファッションビル。でもビブレでコーヒーを飲んでると(スタバでは無い)、中学生の女子がなんかもう人を小馬鹿にした言葉を投げてくる。(マジかー)

スーパーでは、いわゆるぶつかりおじさんが居て、よそ見している女の人にわざとぶつかろうとしている。(結構多い)

ところでうちの周りなんかはちょっとした小金持ちが住んでいて、いい車を持ってたりします。ビンテージカーからベンツ、アストンマーチンにポルシェ、ハーレー。
でもみんなマフラーを変えているもんだからうるさい。住宅街でも爆走しちゃう。高級車だけど下品に乗っちゃう。

私たちが借りている家は築70年くらいの京町家づくりなんですが、アルミサッシは一部で、ほとんどの窓は木製、窓ガラスなんかも手作り。これ手作り…とは言わないかもしれないけど、ガラス面が歪んだ、なんかイイ味わい出してるやつ。

で、例のアストンマーチンが家の前を爆走したらどうなるかっていうと、

揺れるんです。家全体が。

想像してみて。
おそらくこの家の価値と同じくらいの価格の車。それが家の前を通ったら、家が揺れるんです。アイドリングだけでも揺れる。
車の排気で揺れるって、正直に言って、

みじめ

『みじめ』ってなかなか口には出来ない暗くて重い気持ちですけど、そう感じちゃったんだからしようがない。
もうアキ・カウリスマキの映画の不幸な主人公たちになった気持ち。

話を引っ越してきた4月に戻すと、引っ越した夜にはすでに
この町は少し違うかもしれない。と感じていました。
その日の深夜、外から誰かの声が聞こえてくるんです。

オーイ!

微かに怒っているようにも聞こえる声。
数分してからまた、

オーイ!

オーイの横棒(ー)は短め、やっぱり怒鳴り気味。
もう、メチャクチャ怖いです。我々はいったいどんな町に引っ越してきたのか…と思いました。

でも暫くすると解ってきました。この人は気持ちが不安定な方かもしれない。
そして外の誰かに向かって呼びかけているんだ。

オーイ!(おれはここにいるぞ!誰かいるか?)という挨拶かもしれない
オーイ!(腹が立つんじゃ−)という社会への不満かもしれない。
オーイ!(夏が終わるぞ−)かもしれない。
真意は誰にもわからないけど。

一度、この『オーイ』に応える声が別の方向から聞こえたのですが、案の定、いつもより長いオーイが続く。

ガラの悪さっていうのは暴力的なアピールなわけで、その時々で緊張感が必要になります。
アストンマーチンのオーナーも人に対して挑戦的な態度をとる方なんで、ちょっと怖いな…などと思っていたのですが、
同時に、そう言うアピールをするのは気弱さの裏返しだと思うので、赤の他人は敵対するような行動をせずそっと見守ったほうがいいですね。


女子中学生もぶつかりおじさんも、爆音おじさんも、オーイおじさんも、慣れてしまえば味というか、この土地の特色、風土として楽しめる。
まぁ、車が走って家が揺れる体験をしてしまえば、もう笑って生きていくしかないんですけどね。

今晩もまたにオーイ!って声が聞こえてくると、あぁまた今晩も叫んでいるわ。いろいろ大変かもしらんけど、声は元気そうやわ。

とか思うようにしてます。

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