3日目は最北端の奥から安波へ。行程は22kmと今回の歩き旅で一番短いコースです。

この付近はヤンバルクイナの生息地で、山間部の道を歩くと至る所にヤンバルクイナの事故があったという目印が立てかけられていました。
写真のようにいくつかの目印は倒れていましたが、何か意図があるのかもしれないと思い、起こすことはせずそのままにしました。
今回は残念ながらヤンバルクイナに出会うことはありませんでした。もう少しすると(4月ごろ)雛が孵り、道路を渡る様子が見られるとのことです。
歩いていて気づいたのですが、側溝の形が特徴的なことに気づきました。道側は垂直ですが山側は斜めになっています。
これはヤンバルクイナが落ちても登りやすくするためでしょうか。
歩き旅も3日目になると気持ちも身体も長時間の歩きに慣れてきたように思います。
小さな自信や自分を誇らしく思う気持ちを感じます。
歩くだけではありますが、やはり長時間歩き続けるのは疲れます。上り坂、下り坂は1.5倍疲れます。
これは誰であろうとごく普通に疲れる行為なんだと思いました。
疲れると話をします。実はこの旅の間、延々とひとりで話し続けていました。
話し続けると疲れを忘れます。不思議ですが本当に。
普段外で人と話すような大きな声で話します。
これは誰もいない沖縄北部の道路だから出来たことです。
人によっては疲れて無心になったり、瞑想状態に入って、それを楽しむ方もいるかもしれません。
私は延々と物事を考え続け、それについて話し続けていました。
本当に様々なことを考えて話しました。
子供たちのために出来ること、今の仕事のこと、キャンピングカーのこと、これからの人生のこと、過去のこと。
反省したり、新たな気づきを得たり、心から謝罪したり。
話し続けると、やがてその言葉の中に言い訳が多く含まれることに気づきます。
自分を正当化する言葉。
前向きなように聞こえて、要は自分を弁護したり装う言葉が口から出てくる。
話していて、はっと「これは本心では無い」と気づく時があります。
口から出たその言葉で自分を騙し始めようとするのです。
この歩き旅の道中はとても冷静で物事を俯瞰できた状態でした。決して疲れによって考えが乱れたりハイになっているわけではありません。
二重人格でもないです。
深い内観状態で歩いていたのだと思います。
その日の夕食を買おうと宿の手前のスーパー「安波共同店」に入りました。この日はカップ焼きそばとパンを買って、食後に食べるお餅のようなお菓子が無いか探していると「クンジャンナントゥ」という黒糖のお餅を勧められました。生姜入りで美味しかったです。そのお店のやさしい奥さんと少しお話して店を出ました。
店を出たところで自転車に乗った外国人に声をかけられました。
宿を探しているとのこと。
宿の予約なしで沖縄を回っているという、なんだか気楽なもんだなと呆れました。自転車だからこの村がダメなら走り通そうということだったのでしょうか…。とりあえずは今晩の宿を紹介することにしました。
そういえばこの人は奥ですれ違った外国人だったか…。
それを訊くと
「そうかもしれないね」とのこと。
今晩の宿「民宿 安波」に着きました。ドアは閉まっていて中でおじいさんが居眠りをしているのが見えます。
しばらくどうしたものかと待っているとおばあさんが出てきてくれました。
知り合いのように話しかけられ、わたしも当たり前のように打ち解けた口調になっていました。
その後この外国人を泊めて欲しいとお願いし、もう一部屋用意してもらいました。
この宿は高齢のおじいさん、おばあさんが経営されているので必ずしも掃除が行き届いているわけではありません。
ところどころドアや水道設備に傷みが出ていました。
でもこちらとしては宿があるだけでありがたいです。
格好つける必要はなんにも無い。警戒する必要も無い。
ただ人と人の距離が近いことが嬉しくてしょうがありませんでした。
