うちのローバーミニは妻の所有なのですが、その妻が「一生乗り続ける」と宣言して日本からニュージーランドに持っていき、さらに帰国の際はまた日本に持ち帰るということをしましたので私も腹を括りました。
「これは自分でメンテナンスしていくしかない」
ローバーミニは20年前に製造を終えたのですが、日本中に何十ものクラッシックミニ専門店があります。一県に2〜3店舗もあれば、現行の輸入車を販売しているメーカーよりも店舗数が多い都道府県がありそうですね。
そうすると自分で点検をしたりオイル交換などする必要は無く、全てプロに任せる事もできる。
しかしこれは20年前の車。部品の劣化のせいで思わぬ故障が起きるかもしれない。人里離れた場所で動かなくなるだけならまだしも、街中で故障して他人に迷惑をかけることがあるかもしれません。
そうすると車の中身も知らず、日常点検もしていないというのでは無責任と言われてもしょうがない。
ミニの構造について知識を溜め、点検整備は可能な限り自分で行い、いつも気持ちよく安全に走らせたい。そう決めました。
もう一つ、この車を可能な限り自分で整備しようと思ったのは、映画『The Greasy Hand Preachers(邦題:バイク野郎列伝)』を観た影響もあります。

この映画はカスタムバイクの製作とクラッシックバイクの修理という二つのテーマについて、出演者がその思いを丁寧に語っていくという内容。膨大な量のインタビューと、タイトルのとおりまさにオイルの臭いが漂ってきそうな映像で構成されています。
映画には木村信也氏、Roland Sands氏を筆頭に多くのカスタムバイクメーカーが登場するのだけど、その中の一人の言葉が頭に残っていました。
「自分のバイクを修理できる事は本当に素晴らしい事で
バイクに乗る事自体が全く異なる経験になる。
終わりのない旅のようなものになる」

点検や修理は、肩肘張らず専門店を利用するのは全然いいと思う。
専門的な知識も技術も工具も、自分に持ち合わせが無い場合はガンガン頼りたい。
ただ、調子が悪かった車が戻ってきて不具合箇所を説明されても、その内容が理解できないのは勿体ない。
たった今現行で製造・販売されている車であればそれでいいかもしれない。
でもクラッシックカーに乗ることの恩恵とは多くの部品が健全に機能していること、また逆に調子が悪いことを自分の身体で感じることじゃないだろうか。
ある日の調子が悪い原因、それは運転席から遠く離れた末端の部品の破損だった。ということがあるかもしれない。
そして、その部品の機能や必要性を知っているか知らないかで運転の楽しさも全く違ってくる。
もちろんそれを知った上で、修理交換した後の走りがスムーズになったり、心地よいエンジン音が聞こえるようになると、もう最高の気分だ。

実はニュージーランドにミニを持ち込んだ際、日本のように頼れる人がいないのはわかっていたので、この時に自分自身で出来る限りのメンテナンスをしようとは決めていました。
そこで日本でずっとお世話になっていたミニ専門店の方に自分で行う点検整備について相談した時、薦められたのがこの本。
教えてもらったリンク先の本は原書だったので購入を躊躇していたのですが、改めて探してみると日本語版も出ていました。
絶版ということで倍の価格設定となっていましたが、これから十分元は取れると思います。
期待していた通り、日常点検からエンジン内部の非常に専門的なことまで丁寧に書かれています。
マニュアルが届いて少し驚いたのが、表紙が新刊のようにしっかりとしていたこと。ペーパーバックのような冊子が来るのかと思いきや、これはまるで図鑑。こういう質感はミニオーナーにとっては嬉しいことだと思う。

現在うちのミニはニュージーランドから船に乗せられた後大阪に荷揚げされて、京都の同じ区内にあるミニ専門店で車検を待っているところ。
歩いて行ける距離にショップがあるのもまた凄い話です…。
ミニが家に着いたら一つずつ点検整備していきたい。
映画『The Greasy Hand Preachers』は公式ホームページ、Vimeoにてロックダウン中は無料で公開されています(2020年4月現在)
※日本語字幕版はiTunesなどでの有料視聴となります。

“ロックダウンの間、私たちはこの映画を無料で公開し、あなたと共有したいと思います。 より良い日が来るまで、この映画があなたを力づけ楽しませることを願っています。
家にいよう。安全でいよう。そして、家にいよう。”
アーサー/クレメント